全体が3部構成で、第1章ではあるころから消費させることで富を得る経済がなりたっていったことについて書かれている。これをハイパー消費時代といい、それにより何もかもについてモア(もっと)という世の中になっており、筆者はそれを憂いている。
正直その話はもういいかな、というくらい現在の消費社会について書かれていてちょっと退屈する。ただ後半から今までの大量消費時代からようやく現代人が目覚め始めてきたこと、私主義からみんな主義へ変化してきたことについて触れている。
第2章からは個人ではなくみんなで消費する、というコラボ消費について述べている。
コラボ消費には主に3つのパターンがある。
①PSS(プロダクト=サービスシステム)
ある商品を100%所有していなくても、その製品から受けるサービスにだけお金を払うサービス。「所有よりも利用」に重きをおく。
ジップカー、ネットフリックス
②再分配市場
ソーシャルネットワークを通して、使われていないものを必要とする人に配り直すサービス。
フリーサイクル、イーベイ、クレイグリスト
③コラボ的ライフスタイル
同じような目的を持つ人が、時間や空間、技術やお金といった目に見えないものを共有するサービス。
ガーデンシェア、ゾーパ、コ・ワーキング、カウチサーフィン、エアビーアンドビー
3つ共通して言えることは、コラボ消費にはサスティナビリティ(持続可能性)とコミュニケーションがもともと備わった不可欠なもので、あとづけではないということ。また、コラボ消費には以下の4つの原則があるらしい。
a)クリティカル・マスの存在
クリティカル・マス=システムを自立てきに維持するためのモメンタム
チョイスの多さ、お墨付き(社会的承認)
b)余剰キャパシティの活用
これにはソーシャルネットワークの機能がかかせない
c)共有資源(コモンズ)の尊重
これもソーシャルネットワークの機能がかかせない
d)他者との信頼
お互いの承認によってセキュリティがなりたつ
上記を具体的な話を交えて語っている。
そして最後の第3章でシェアによって今後どうなっていくか、をデザイナという職業をたとえにコラボ・デザインというサービスについて語っている。ま、結局のところじゃ、どうなるというところまでは突っ込まれていないが、確実に現在がシェアというサービスのターニングポイントである、ということで最後は終わっている。
■感想
特に印象に残っているのは、動機はどうであれ同じような問題をもった人が、ある規模とツールをそろえられることで、P2Pの関係を構築していくなかで、サービスがおのずと成長していくこと。シェアする関係でのセキュリティ的な監視は、P2Pの相互認証の連鎖によって構築されること。マズローの欲求の定理から、現代人も基本的に周りに承認されることを望んでいるので、決してシェアすることによって自己利益だけを求めるような行動はおこさないこと。いろいろなシェアサービス()が存在すること。
何か自分でもシェアサービスを提供できればと思う。